2014年

3月

18日

ホタル等生息調査に対する平修久教授(聖学院大学政治経済学部)の見解

聖学院大学政治経済学部の平修久教授より、板橋区が実施したホタル等生息調査についての見解をいただきました。平教授から公開の許可をいただきましたので、以下に掲載します。ホタル生態環境館に心を寄せる皆様や行政をチェックする区議会議員の皆様には是非ご一読をお願いします。なお、Web掲載の都合上、いただいた文章はそのままにして、体裁のみを若干修正しました。

 

聖学院大学では、蛍のせせらぎ「ホタルのビオトープ ~ひかりのせせらぎ~」を2004年に構築され、以来、ホタルが自生する唯一の大学として毎年ほたる祭りを開催されています。

板橋区ホタル生態環境館におけるホタル等生息調査について

 

聖学院大学政治経済学部

教授 平 修久

 

板橋区のホタルに関する特許を基にして整備した学内のせせらぎで、学生とともに10年間、ゲンジボタルの生息環境を保全し、地域の方々を対象にした鑑賞会を実施してきた経験から、板橋区ホタル生態環境館におけるホタル等生息調査に関する個人としての見解を述べたい。

 

1.ホタルは、現代において、生物学的に貴重であるとともに、地域コミュニティの再生・強化にとっても重要な存在である。ホタルに係る者にとって、幼虫1匹1匹が大切な存在である。

 

2.板橋区のホームページによると、せせらぎ(屋内)の調査結果は、2匹のゲンジボタルと85匹のカワニナを発見し、推定個体数は、ゲンジボタルが23匹、カワニナが963匹としている。調査会社のこの報告が正しいのであれば、板橋区は区民に対して深く謝罪する義務がある。例年、ホタル鑑賞会では約1万匹のホタルの乱舞を楽しむことができたが、今後はそのような光景を見ることができなくなったことを意味するからである。言い換えると、ホタルという区民の財産が壊滅的になったということである。

 

3.何の謝罪もなく、原因の究明や対策の実施について区民への説明がないということは、板橋区として、調査結果をそのまま受け取ってはいないと判断される。

 

4.今回の調査結果は正しいのではなく、不適切な調査方法に基づく不正確な調査結果なのである。

 

5.生き物の生息調査については、適切な時期と適切な方法がある。調査会社が参照した国土交通省の「河川水辺の国勢調査 基本調査マニュアル【河川版】(底生動物調査編)」には、底生動物の季節ごとに生態についてまでは記載されていない。したがって、ホタルの生息を調査する際には、適切な時期とそれに適合した方法を別途確認することが求められる。今回の調査ではそれについての言及はなされていない。

 

6.ホタルの一生に関する知識を持ち、ホタルを育てた経験のある人であれば、1月末の段階で幼虫はまだかなり小さく、せせらぎの底でじっとしている時期であり、せせらぎには入らないことは常識である。せせらぎに足を踏み入れての調査は、板橋区民の財産ともいうべきホタルの幼虫に対する配慮がなされなかったと言わざるを得ない。

 

7.底生生物はルーペを必要とするような数ミリ、あるいはそれ以下のものもある。しかしながら、今回、ホタルの幼虫のサイズを1cm以上のものに限定したという。国土交通省のマニュアルでは、微小の生物に対して0.5mmのふるいを用いることとしている。実際に、1月末の段階では、ホタルの幼虫は数mmと小さい。1cm以上もあるような幼虫は、前年に上陸しそこなったものと思われる。

 

8.微小な底生生物は採取用ネットの網にひっかかる可能性が大きい。容器に移す際には、ネットに生物が残っていないかを慎重に見極める必要がある。しかしながら、そのような丁寧な採取はなされていない。

 

9.せせらぎに生息するホタル等の底生生物は微小であり、小石などに挟まれると死ぬ可能性がある。しかしながら、そのようなことを考慮せずに調査が実施されたようである。ホタルの幼虫の生命を気遣う配慮なしの調査は、調査の名に値するとは言えない。

 

10.以上のように、調査の時期及び方法は不適切である。調査を実施した企業が適切であったかも疑問である。さらには、調査を現場で監督していた区職員が適切な指示を出さなかったことも大いに疑問である。