4月3日会見資料から〜クロマルハナバチの売買契約

4月3日に行われた阿部宣男氏(ホタル生態環境館の前館長)の懲戒免職問題に関する記者会見で配布された資料を当会も入手しました。そこから読み取れた事について書いて行きたいと思います。

 

今回は、懲戒免職理由の最初に挙げられたクロマルハナバチの「売買契約書及び秘密保守契約書」についてです。「事実概要」には以下のように記されています。

引用します。

◇平成21年7月

A事業者との間で在来種クロマルハナバチ(以下「ハチ」という。)飼育に関する「業務提携契約書」を締結。

◇平成23年4月

A事業者及び財団法人Bとの間で、ハチの「売買契約書及び秘密保守契約書」を締結。これに基づき、ホタル生態環境館施設において、区の本来業務でないハチ飼育をA事業者に認めるなどの便宜を図り、自らもハチの生態確認作業等を行った。

 

「財団法人B」とは「財団法人能登町ふれあい公社」を指し、「A事業者」とは「イノリー企画」を指すようです。事実概要を読むと、まるで阿部氏が区に断りもなく勝手に事業を進め、記載されていないものの、それによって不当な利益を得ていたのではないかと疑ってしまいますよね。

 

ところが、会見資料に記された事実認識はまるで違います。

 

能登町ふれあい公社は、平成20年5月頃に「在来種マルハナバチ飼育繁殖に関しての依頼」を板橋区長である坂本健氏に送っています。この依頼文には、ハウス栽培の9割で使われているセイヨウオオマルハナバチを国産のマルハナバチに切り替えていくために、ホタル生態環境館の協力が不可欠であると記されています。引用しましょう。

 

「能登町では在来種の純国内生産は必須不可欠であると判断しました。切り替えのメリットとして、当然ながらセイヨウ自体の持込を防止できると共に、運輸によるCO2の排出量を削減できることやダニ・ウイルス・カビなどの外来寄生生物の侵入を解消したい」

 

「板橋区ホタル飼育施設における在来種クロマルハナバチ通年安定供給する研究は貴区のみが成功しています。クロマルハナバチ等の商業生産、実用化をする上で、板橋区ホタル飼育施設にご協力、お力添え無しには実現できません。」

 

「能登町では在来種への転換を実際のものにしていき、より環境にやさしい農業への手助けをしていきたいと考えております。付きましては職員の派遣及び研修等を受け入れて頂くよう重ねてお願い申し上げます。」

 

ホタル生態環境館でのマルハナバチ飼育の実績が非常に高く評価されていた事が分かります。板橋区は、この依頼に応えて阿部氏に対して協力の指示をしたそうです。ここまで頼まれて断る区長はいないでしょう。

 

さて、当初、クロマルハナバチの実際の供給を担当したのは「株式会社 武蔵野種苗園」でした。阿部氏は技術的な支援をして、この供給を支えてきました。ちなみに、阿部氏は、この協力や支援によって、いかなる経済的利益も受けていないとの事です。

 

その後、残念なことに、2011年3月11日の大震災を契機に、武蔵野種苗園はクロマルハナバチの事業から撤退してしまいました。そのため、イノリー企画がこの役割を引き受け、能登町ふれあい公社との間で「売買契約書及び秘密保守契約書」を締結したのです。この文書を用意したのは、能登町ふれあい公社で、そこに生態保証や生態品質検査を行う「丙」として阿部氏が登場します。

 

阿部氏としては、区から協力の指示を受けていたため、自らの職務に反するものでなければ問題ないと判断して、この文書に押印しました。この契約では、イノリー企画が一定の価格で能登ふれあい公社にクロマルハナバチを供給する事になっていましたが、阿部氏に対する金銭提供は規定されていません。阿部氏は、区によって命じられた職務を遂行していたつもりであって、この契約によって経済的な利益を受けた訳ではないのです。

 

いかがでしょうか。

契約書に区の名前でなく個人の名前で押印してしまったのは、もしかすると問題かもしれませんね。でも、それは「注意」くらいで済む事ではないのでしょうか。

 

懲戒免職とは、私腹を肥やしたとか、犯罪行為があったとか認定された時に行われる処罰だと思います。この公開資料に記された阿部氏の行為は、区の指示を忠実に遂行する職員のものであって、懲戒免職相当のものだとは到底思えません。

 

以上