カワニナとヒル

阿部博士が書かれた以下の論文を支援者から見せていただいたので、そこから面白そうな内容をご紹介します。今回はホタル幼虫の餌となるカワニナという貝とヒルの関係です。

論文の名称は、「水圏環境の自然回帰へ向けたホタル生態系の設計と構築 : 第一報, 閉鎖型ミニ生態系による模擬と7世代継承の成果」です。

 

ホタルが生育するせせらぎには、ホタル幼虫の餌となるカワニナが大量に必要になります。でも、こういった貝類が大好きな「ヒル」が大量にいると困った事になります。このヒルの大量発生を防ぐ技術が書いてあったので引用します。

 

論文のP90から引用

最後にカワニナの天敵であるヒル類の予防対策について述べる。ここではヒル類の増殖を防ぐために飼育水の塩分濃度を調節した。まず、自然界での生息水圏の塩分濃度を調べるため、実際にホタルが生息している河川及び小川をデジタル塩分濃度計(シナール塩分濃度計NS-3P)で計測した。その結果、全ての箇所で塩分が検出され、その平均塩分濃度は0.03〜0.05%の範囲であった。したがって、カワニナの維持のために、通常の飼育水の塩分濃度は0.03〜0.1%に設定した。

今回、一定時間塩分濃度を1.5%を限度として維持することにより、ヒル類の発生を抑えられた。カワニナ育成水槽では、1.5%の塩分濃度中に48時間を限度として塩浴させる応急措置を行い、現在の所、本ホタル生態槽では、ヒルの大量発生は一度も起こっていない。

 

どうやら、薄い塩分のある環境に保つのが、「カワニナは生きられるのにヒルは発生しない」秘訣のようです。この辺も貴重なノウハウの一つなのでしょう。

この件について、ホタル生態環境館を手伝っていたボランティアに話をした所、

さらに以下のような面白い話を伺えました。

  • 塩分濃度の調節でヒルを落とす事は可能でした。水槽の場合には、薬浴効果を上げるために「補助水槽」を使用することもありました。
  • 生態槽やせせらぎにはヤマトヌマエビやメダカ、トビゲラ・カワゲラの幼虫などたくさんの種が共生して居ますので、慎重に対応していました。
  • ここで一番大切なのは、外部からカワニナを持ち込まない事です。田んぼや水路のカワニナには大量のヒルの卵や幼ヒルが入り込んでいます

外からカワニナを持ち込むのは厳禁だったのですね。ホタル生態環境館の中にはまさしく生態系があったのだと教えられるお話でした。